賃貸物件の敷金とは?返金までの流れや返ってこないときの対処法を解説

事務員 S

筆者 事務員 S

不動産キャリア12年

明るく元気がモットーです!

賃貸物件の敷金とは?返金までの流れや返ってこないときの対処法を解説

賃貸物件に入居するとき、初期費用としてさまざまな費用がかかります。
そのなかの一つが敷金で、家賃をベースに金額が決まるのが一般的です。
しかし、敷金とは一体どのような費用なのでしょうか。
今回は、賃貸物件の敷金とはなにか、返金までの流れや返ってこないときの対処法について解説します。
お部屋をお探しの方は、ぜひ参考になさってください。

賃貸物件に住むときに必要となる敷金とは?

賃貸物件に住むときに必要となる敷金とは?

まずは、賃貸物件の敷金とはなにか、役割について解説します。

敷金とは?

敷金とは、入居しているお部屋を汚してしまったり、設備を破損してしまったりしたときの修繕費用に充当されるお金です。
入居者が大家さんに預けるもので、賃貸借契約の際の初期費用として支払います。
また、万が一家賃が滞納したときにも、敷金から支払われることになります。
金額は家賃の1か月分であることが多いですが、物件によって異なり、2か月や3か月になることもあるでしょう。
敷金は初期費用のなかでも大きな割合を占めるので、入居時にどのくらいかかるのかを、あらかじめ把握しておくと安心です。

戻ってくるお金なのか?

先述のとおり、敷金とは万が一のリスクに備えて預けるお金です。
そのため、通常の生活でお部屋のなかを汚したり、設備を破損したりせず家賃もしっかり支払っていれば、戻ってくることになります。
しかし、退去時の費用負担については基準が曖昧なため、全額返金されることは少ないです。
全額返還されないケースもあるので、国土交通省は原状回復についてのガイドラインを公表しています。
賃貸物件に住むときは、ご自身でも敷金について理解を深めておくと、トラブルになったときのリスクを軽減できるでしょう。

入居者の負担となる費用とは?

退去時の費用負担については、法的な決まりがないと解説しました。
しかし、故意や過失、善管注意義務違反によってお部屋を汚したり傷つけたりした場合、その修繕費用は入居者が負担することになります。
善管注意義務とは、住む方が十分な管理をおこなわかったことでトラブルが起きたとき、その責任は借主が負うというものです。
たとえば、十分な換気をおこなわずに、クロスにカビが生えてしまった場合、貼り替えの費用は入居者が支払います。
また、DIYで床を傷づけてしまった場合、大家さんが善管注意義務違反とみなすと、その修繕費用も支払うことになるでしょう。
ただし、通常の生活でキッチンが汚れてしまったり、設備が劣化してしまったりした場合などは、経年劣化や損耗とみなされるのが一般的です。
経年劣化や損耗による破損や不具合は、基本的に大家さんの負担となります。

礼金とは?

礼金とは、お部屋を貸してくれたお礼として、大家さんに支払うお金です。
敷金とは違い、返金されないお金となります。
礼金は、賃貸物件がまだ少なかったころ、借りるときに貸主に対してありがとうという気持ちを込め、支払っていたものです。
そのため、今は礼金を支払う意味があまりないため、礼金なしの賃貸物件が増えています。

賃貸物件で敷金が返金されるまでの流れ

賃貸物件で敷金が返金されるまでの流れ

続いて、敷金が返金されるまでの流れについて解説します。

流れ1:見積もりを確認する

流れの始めにおこなうことは、見積もりを確認することです。
退去を申し出たあと、不動産会社がお部屋のなかの状態をチェックします。
修繕や交換が必要なところを確認し、見積もりが作成されるという流れです。
ご自身も立ち会うことによって、見積もりの判断基準が把握できることと思います。
「クロスの傷は入居当時からあった」「床の傷は引っ越しのときに自分で傷つけてしまった…」という風に、説明することもできるでしょう。

流れ2:精算内容の内訳書が届く

見積もりが終わったあとの流れは、精算内容が記載された内訳書が届くことです。
不明点やわからないことがあれば、このタイミングで確認なさってください。
お部屋のチェックから、1か月以内には届く場合が多いです。
内訳書には、クリーニング費用や床やクロスの交換費用など、なににいくら必要なのかが記載されています。

流れ3:残りの敷金が返金される

修繕費用やクリーニング費用が支払い済みの敷金から差し引かれ、返金されます。
返金されるタイミングは、賃貸借契約書に記載されている、敷金の返還時期です。
一般的には、お部屋のなかのチェックが終わってから、1か月~2か月ほどとなります。
なにかしらのトラブルが生じた場合は、その時期より伸びることがあるでしょう。
ただし、クリーニング費用や修繕費用が高額になり、敷金が返還されないケースもあります。
返金があるのにも関わらず、支払いがなかったり連絡がなかったりする場合は、確認するのがおすすめです。

退去時に敷金が返ってこないときの対処法

賃貸物件の退去時に敷金が返ってこないときの対処法やトラブルを避けるためのポイント

最後に、賃貸物件の退去時に、敷金が返ってこないときの対処法やトラブルを避けるためのポイントについて解説します。

返ってこないときの対処法1:大家さんに交渉する

返ってこないときの対処法としてまず挙げられるのが、大家さんに交渉することです。
賃貸借契約において、貸主は敷金の返還義務が生じます。
義務があるのに返金がない場合、なぜ返還されないのか、まずは理由を確認することが重要です。
先述のとおり、返金されるタイミングは、賃貸借契約書に記載されている敷金の返還時期となります。
しかし、敷金の返還日は、法律で定められているわけではありません。
敷金は預かり金であることから、遅滞なく返還する義務があり、退去から1か月~2か月ほどとするケースが多いです。
そのため、もし期限を過ぎていたら、敷金の返還を請求します。
民法では原状回復費をマイナスしたあとの敷金は、借主に対して返還するのが義務と定められています。
入居者が退去したタイミングで、大家さんは敷金返還の義務を負い、入居者は敷金の返還を請求できる権利を持つことになるのです。

返ってこないときの対処法2:公的な相談窓口に問い合わせる

返ってこないときの対処法として、公的な相談窓口に問い合わせることも挙げられます。
主な相談窓口は、消費生活センターや、自治体に設置されている不動産相談窓口などです。
あらかじめ質問内容をまとめたり、納得いかないところを確認しておいたりすると、スムーズに相談できるでしょう。

返ってこないときの対処法3:少額訴訟を起こす

大家さんに交渉したり、公的な窓口に相談したりしても、問題を解決できないことがあります。
そのような場合は、最終手段として、少額訴訟を起こすという方法があります。
少額訴訟とは、簡易裁判所に対して、60万円以下の支払いを求める訴訟です。
1回の審理で判決を得られるので、早急に解決することができます。
敷金の返還を請求できる権利は、退去してから5年以内となるので、期限を過ぎないように注意が必要です。
また、貸主側が支払いを拒否した場合、普通訴訟に移行することになります。
少額訴訟は、あくまでも最終手段となるので、できる限り話し合いで解決するのが望ましいといえるでしょう。

まとめ

敷金とは賃貸物件のお部屋を汚してしまったり、設備を破損してしまったりしたときの修繕費用に充当されるほか、家賃滞納のリスクに備えるものです。
返金までの一般的な流れは、見積もりを確認したあとに内訳書が届き、問題なければクリーニング費用や修繕費用が差し引かれた状態で返金されます。
万が一返ってこないときは、大家さんに交渉したり公的な相談窓口に問い合わせたり、最終手段として少額訴訟などが挙げられます。