不動産売却時の売却益とは?計算方法や節税方法も解説!

事務員 S

筆者 事務員 S

不動産キャリア12年

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不動産売却時の売却益とは?計算方法や節税方法も解説!

不動産の売却を考えているときに知っておきたいポイントのひとつに、売却益があります。
売却益は売主が自分で計算する必要があり、そもそも売却益とは何なのかを把握していないと困りやすいため注意が必要です。
そこで今回は、不動産売却時の売却益とは何かにくわえ、計算方法や節税方法も解説します。

不動産売却時の売却益とは

不動産売却時の売却益とは

不動産売却時の売却益とは何かについて、押さえたい基本は以下のとおりです。

売却益の概要

売却益とは、不動産売却によって得られた利益です。
不動産は価格の相場が高く、建物や土地を売却するとまとまった臨時収入を得られる可能性があります。
一見すると、この臨時収入が利益にあたりそうですが、買主から受け取った金額がそのまま売却益になるわけではありません。
利益を計算するには、元手としてかかったお金を差し引く必要があります。
また、不動産の売却益においては、特別控除がいくつか用意されている点に注意が必要です。
利益の有無はさまざまな要因で変わるため、後述する式で個別に計算する形となっています。
不動産売却で高額な臨時収入があっても、売却益を得たとは限らない点は、基本としてよくチェックしたいところです。

売却益を調べる必要性

専用の式を使って売主が自分で売却益を計算しなくてはならないのは、不動産売却時の税金が関わっているためです。
不動産の売却益は課税対象とされており、売却益を得た売主は確定申告をとおして税金を納める仕組みとなっています。
不動産の売却益に対する税金は、毎年発生する固定資産税などと異なり、市区町村からの通知がありません。
状況に応じて申告や納税を適切に済ませるため、不動産売却を終えたら、まずは売却益の有無を調べることが大事です。
売却益が出ていたら、不動産売却をおこなった年の翌年に確定申告をおこないます。
確定申告の期間は2月16日から3月15日までです。
必要な確定申告が3月15日までに終わらなかったときは無申告と扱われ、追徴課税を受けてしまいます。
該当年の申告期間にもれなく確定申告を済ませられるよう、売却益の計算やそのあとの申告手続きは、スケジュールにしっかり組み込んでおきましょう。

不動産の売却益を計算する方法

不動産の売却益を計算する方法

不動産の売却益を計算する方法は以下のとおりです。
売却益=売却価格-(取得費+譲渡費用)-特別控除
上記の式で計算した売却益は、不動産売却後に発生する譲渡所得税の課税対象となるため、課税譲渡所得とも呼ばれます。
式自体はそれほど難しいものではありませんが、それぞれの項目が何を指しているのかには注意が必要です。

取得費

取得費とは、売却した不動産の取得にかかった費用です。
具体的には、購入当時に支払った不動産の本体価格や仲介手数料、登記の費用などが該当します。
また、購入後におこなったリフォームの費用、利用したローンにかかった金利分などは、取得費に含まれます。
さらに、登記の手続きで発生した司法書士への報酬を含められるなど、取得費は多岐にわたるため、計上もれが出ないように注意しましょう。

建物の取得費を計算するときの注意点

売却した不動産に建物があるときは、減価償却の手続きをしなくてはなりません。
減価償却とは、経年劣化にともなう価値の下落を反映する手続きです。
具体的には、減価償却費を計算し、建物の取得費から差し引きます。
減価償却費の計算式は、以下のとおりです。
減価償却費=建物の購入代金×0.9×償却率×経過年数
減価償却は、経年劣化の可能性がある建物に限った手続きです。
そのため、減価償却費は建物の代金だけを使って計算するものであり、土地代を含めない点がポイントです。
償却率は建物の構造に応じて決まり、木造では0.031、軽量鉄骨造では0.025、鉄筋コンクリート造では0.015となっています。
最後の経過年数とは、不動産を購入してから過ぎた期間です。
購入から10年住んでいた不動産なら10年となるなど、建物の築年数とは異なります。
減価償却費を計算して建物の取得費から差し引けば、減価償却は完了です。

譲渡費用

譲渡費用とは、不動産売却にかかった経費です。
不動産売却は買主から代金を受け取れるだけでなく、売主側にさまざまな出費が発生するものです。
出費の例には、売買の仲介を頼んだ会社に支払う仲介手数料、事前に建物を取り壊したときにかかる解体費用などが挙げられます。
不動産売却にかかった経費は譲渡費用にできるため、忘れずに計上しましょう。

特別控除

特別控除とは、何らかの特例を利用するときに発生するものです。
たとえば、居住用の不動産を売却したときは、3,000万円の特別控除の特例を使える可能性があります。
実際に使用すると、売却益を計算するとき、3,000万円分の特別控除が適用されます。
特別控除がいくらになるかは、使用する特例次第です。
使用予定の特例にあわせて、特別控除がいくらなのかをしっかり確認しましょう。
なお、特例は適用要件があるため、希望すればどなたでも利用できるとは限りません。
特例を利用したいときは、適用要件を事前に一度確認することが大事です。

不動産の売却益に関する節税方法

不動産の売却益に関する節税方法

不動産の売却益に関する節税方法は以下のとおりです。

特別控除の適用を受ける

不動産売却後に節税したいときは、売却益をできるだけ抑えることが大事です。
売却益を小さくできるほど課税対象額を抑える形となり、税金が少額となります。
しかし、取得費や譲渡費用だけでは、売却益を抑えるにも限界があるものです。
そこで、節税を希望するなら、特別控除の適用を受けられないかを一度考えることをおすすめします。
売却する不動産が自宅なら、先述した3,000万円の特別控除の特例を利用できる可能性があります。
通常より売却益を3,000万円少なく計算できるため、一定の節税が可能です。
自宅として使っている家屋を売却するなど、特例の適用要件をすべて満たせるかどうかを一度調べてみましょう。
また、3,000万円の特別控除の特例は、相続した空き家を売却するときにも利用できる可能性があります。
適用要件には、相続開始の直前まで被相続人が居住していたことなどが挙げられます。
特別控除額は同じでも、自宅と相続した空き家では適用要件が異なる点に注意が必要です。

売却損が出たときに適用される控除

不動産売却後に利用できる控除には、売買の結果が赤字だったときを想定したものがあります。
売却損が出たときは、発生した赤字を節税に活用できないかを一度考えてみましょう。
売却損において利用できる特例には、居住用財産を買い替えた場合の譲渡損失の損益通算および繰越控除の特例などがあります。
制度名のとおり、これは居住用財産の買い替えにともなって売却損が出たときを想定した特例です。
実際に利用できると、旧居の売却によって生じた売却損を、同年の給与所得や事業所得などから控除できます。
ほかの所得から控除しきれなかった売却損は、翌年以後3年間にわたって繰り越しでの控除が認められます。
このように発生した売却損でほかの所得を相殺できるため、節税が可能です。
本特例の適用要件には、売却した年の1月1日時点で所有期間が5年以上になっていることなどがあります。
適用要件を満たさないと、売却損が出ていても節税は難しいため注意が必要です。

まとめ

売却益とは、不動産売却によって得られた利益であり、具体的な金額は規定の式を使って売主側で計算する仕組みです。
計算方法は「売却価格-(取得費+譲渡費用)-特別控除」であり、主な注意点には建物の取得費を計算するときは減価償却が必要なことなどが挙げられます。
売却益に関する節税方法には、特例による特別控除や売却損が出たときの控除をできるだけ適用することが挙げられます。