賃貸物件の更新を断られるのはなぜ?よくあるケースや対処法を解説

事務員 S

筆者 事務員 S

不動産キャリア11年

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賃貸物件の更新を断られるのはなぜ?よくあるケースや対処法を解説

賃貸物件の契約には期間が定められており、満了時には更新手続きをおこなうか退去するかを選択しなければなりません。
原則として更新料を支払えば引き続き入居が可能ですが、まれに更新を断られることがあります。
賃貸物件の期限が迫っている方は、更新を拒否されるケースと対処法を確認しておきましょう。

賃貸物件で更新を断られる?断られたときに確認すべきこと

賃貸物件で更新を断られる?断られたときに確認すべきこと

同じ物件に長く住むつもりでいても、貸主に更新を断られたら退去する必要があります。
原則として、不動産会社や大家さんなどの貸主が一方的に更新を拒むことはできません。
しかし賃貸物件の契約内容によっては、一定期間が過ぎると更新ができないことがあります。
ここからは、契約更新を断られた際に確認したい契約書の内容を解説します。

契約タイプの確認:定期借家契約

賃貸物件の契約が「定期借家契約」になっている場合、基本的に期間を延長して住み続けることはできません。
更新ができない契約なので、はじめに定めた期間がきたら新居に引っ越すことになります。
定期借家契約は、貸主が期間限定で物件を貸し出したいときに用いられる契約です。
たとえば、転勤などで一時的に不在になるため、その間だけ自宅を貸したい場合などに定期借家契約が用いられます。
更新を拒否された場合は契約内容を確認し、そこに定期借家契約と記載されていたら基本的には退去しなければなりません。
ただし、場合によっては延長して住み続けられる可能性もあるので、まずは交渉してみることをおすすめします。
なお定期借家契約の場合でも、貸主は貸主に対する解約通知と契約期間を明記した書面の発行が義務付けられています。
解約通知や契約内容の交付がおこなわれていなかった場合、貸主が一方的に更新を拒否することはできません。
もし通知がないまま契約期間が満了した場合は、借主に6か月の猶予が与えられます。
契約期間を明記した書面の交付や説明がないときは、借主は契約の続行を主張することが可能です。

契約タイプの確認:普通借家契約

賃貸借物件の契約タイプには、定期借家契約のほか「普通借家契約」があります。
普通借家契約は日本で最も一般的な不動産賃貸借契約で、原則として貸主から一方的に更新を断られることはありません。
定期借家契約において確認すべきポイントは、契約更新についてです。
普通借家契約の更新には、「合意更新」と「法定更新」の2種類があります。
合意更新とは、貸主と借主が新しい契約条件に合意して契約を更新することです。
契約内容に変更がある場合は貸主から説明がおこなわれ、借主が合意した場合に変更契約書が交わされます。
一方で法定更新は、契約終了まで更新に関する同意が得られなかった場合に、従前の契約条件で契約が自動的に更新されることです。
契約期間は引き継がれないため、原則更新料の支払い義務が無くなり、期間の定めのない契約として扱われます。
たとえば、「更新の際に貸主から家賃の値上げを提案されたが、納得できずに合意することができなかった」としましょう。
このような状態で期間満了を迎えた場合でも、これまでの契約内容と同じまま自動的に更新することになります。
法定更新は、突然の退去を求められることなどがないよう、入居者を保護するための制度です。
ただし貸主に正当な事由(老朽化のため取り壊すなど)が生じた場合は、更新を拒否されることもあります。

賃貸物件の更新を断られるケースについて

賃貸物件の更新を断られるケースについて

更新の拒否は借主の生活を左右する行為なので、貸主の身勝手な都合によるものは認められません。
更新を拒否するには正当な理由が必要とされていますが、具体的にどのような事例があるのでしょうか。
ここからは、賃貸物件の更新を断られるケースについて解説します。

更新を断られるケース①借主の債務不履行

賃貸物件の契約書には居住ルールが設けられており、規約に反する行為をおこうと契約の更新を断られる恐れがあります。
たとえば、騒音によって近隣の方から苦情がきていたり、ペットの飼育が禁止にも関わらず犬や猫を飼っている場合などです。
債務不履行を理由に契約期間内での退去を言い渡されたら、速やかに新居探しをおこなう必要があります。

更新を断られるケース②物件の劣化

賃貸物件のオーナーには借主の安全を守る義務があるため、築年数が経過すると立て直しやリフォームを実施します。
建物や設備が古い状態のままだと、故障やクレームなどのトラブルに繋がりかねません。
そのため、あらかじめ工事をするタイミングを見越して、契約期間を設けているケースがあります。
建物のメンテナンスは正当な事由として認められるので、借主は契約期間が満了したら退去しなければなりません。
築年数が経っている賃貸物件への入居を検討する際は、契約期間をしっかりチェックしておきましょう。

更新を断られるケース③信頼関係が崩壊

貸主と借主の信頼関係が崩壊するようなトラブルが生じた場合も、更新を断られる可能性があります。
たとえば、長期間に及ぶ家賃の滞納やペット不可物件にも関わらずペットを飼育していた場合などです。
賃貸物件は貸主の大切な資産であるため、貸主に信頼できないと判断されたときは更新を断られる恐れがあります。
このような状態を避けるためには、契約内容を再度確認し、入居態度を振り返ってみることが大切です。
問題があったからといって即座に更新を断られることはなく、基本的には注意から始まります。
ルール違反を積み重ねると更新拒否の対象となる可能性が高いため、注意を受けたら速やかに改善しましょう。

賃貸物件の更新を断られる?断られたときの対処法について

賃貸物件の更新を断られる?断られたときの対処法について

もし賃貸物件の更新を断られたら、どのように対処すれば良いのでしょうか。
最後に、賃貸物件の更新を断られた場合の対処法を解説します。

対処法①焦らずに落ち着いて対応する

賃貸物件の更新を断られたときは、焦らず冷静に状況を判断する必要があります。
まずは、貸主が更新を拒否するだけの正当事由があるかを確認しましょう。
正当な理由が認められない場合は、原則として住み続けることが可能です。
大家さんや物件を管理している不動産会社に、どのような理由で更新できないのか確認しましょう。

対処法②立退料の支払い請求をおこなう

更新拒否の理由について異議を訴えることも可能ですが、それには時間と労力がかかります。
そこで、貸主の要求に応じる代わりに立ち退き料を請求する方法があります。
資金が入れば新居や引っ越しの費用に充てられるため、前向きに引っ越しを検討できるでしょう。
立ち退き料の金額に定めはありませんが、目安は家賃の約6か月分とされています。
たとえば月々の賃料が3万円であれば、立ち退き料として18万円を受け取れる計算です。
更新拒否を受け入れない姿勢を貫くがあまり、裁判に発展するケースは珍しくありません。
裁判で争うことになると時間と費用がかかるため、立ち退き料をもらって解決するほうが負担は少ないでしょう。
貸主が納得できるように、交渉時には引っ越し費用や新たな新居の初期費用を具体的に計算して提示することが大切です。

まとめ

賃貸物件に長く住み続けたい場合は、条件をよく確認してから契約を結ぶことが大切です。
普通借家契約であれば契約更新が可能ですが、場合によっては更新を断られることもあります。
貸主から契約更新を拒否された場合は感情的にならず、なぜそうなるのか理由をしっかり確認しましょう。