賃貸物件探しで注意したいおとり物件について!見分け方も解説

賃貸物件探しで注意したいおとり物件について!見分け方も解説

賃貸物件を探していると、好条件のお部屋が見つかり、すぐにでも契約したいと考えることがあります。
しかし、そうした賃貸物件のなかには、おとり物件とよばれるものがあるため注意が必要です。
そこで今回は、賃貸物件探しで注意したいおとり物件とはどのようなものなのか、おとり物件に対する法規制やおとり物件の見分け方を解説します。

賃貸物件探しで注意したいおとり物件とは

賃貸物件探しで注意したいおとり物件とは

おとり物件とは、実際に借りることが不可能である、存在しない物件を指します。
一般的には、悪意を持ってだますために、おとり物件の広告を掲載することが多いものの、意図せずにおとり物件になってしまったり、不注意でおとり物件になったりすることもあります。

おとり物件①集客のための架空広告

おとり物件のなかでも、悪意を持って掲載されているのが、集客を目的とした架空の広告です。
こうした架空物件は、実際には存在しないものであることから、借りたくても借りられず、問い合わせの時間を無駄にしたと感じられることも多いでしょう。
悪質な不動産業者のなかには、破格の条件で賃貸物件が借りられるような内容のおとり物件を掲載し、通常の条件での賃貸借契約を結ばせようとするものも存在します。
おとり物件としては、実際に物件が存在しないもののほか、存在するものの条件が違う・存在するもののすでに成約済みのものもあります。
こうした架空物件による集客は違法であることから、該当の業者には業務停止や免許取り消し処分などが下されることも珍しくありません。

おとり物件②消し忘れ

悪意ある架空物件以外に、おとり物件とされるのが、すでに契約済みの物件の消し忘れです。
インターネット上には、多くの賃貸物件情報が掲載されていますが、こうした情報のすべては不動産業者による手作業で入力されています。
そのため、情報を消し忘れたり、インターネットサイトへの反映が遅れたりした場合、結果としておとり物件になることも考えられます。
また、このような事例以外にも存在するのが、不動産業者の管理体制の不備によるおとり物件です。

おとり物件を見て問い合わせるとどうなる?

条件の良いおとり物件の広告を見かけて不動産業者に問い合わせた場合、さまざまなリスクが発生します。
悪意のある架空物件の場合には、ほかの物件を執拗に勧めてくるなど、お部屋探しをしている方にとって迷惑になることがリスクのひとつです。
とくに、初めての賃貸物件探しをしている方であれば、自分の希望とかけ離れたお部屋を契約させられてしまうことも考えられます。
悪意の有無に関わらず、こうしたおとり物件への問い合わせは契約ができないため、すべて時間の無駄になり、新居探しが遅れることも重大なリスクです。

賃貸物件のおとり物件に対する法規制とは

賃貸物件のおとり物件に対する法規制とは

賃貸物件におけるおとり物件を規制するルールには、宅地建物取引業法と不動産の表示に関する公正競争規約の2つがあります。
それぞれの内容をチェックして、おとり物件の危険性を把握しましょう。

宅地建物取引業法

宅地建物取引業法とは、不動産業者などの宅地建物取引業の免許制度や規制実施をとおし、取引の公正さや借主の利益の保護などを目的として定められた法律です。
このなかで、おとり物件についての規制が書かれているのは、宅地建物取引業法第32条です。
宅地建物取引業法第32条は誇大広告等の禁止を定めていて、事実と違うのはもちろんのこと、実際よりも優良・有利であると誤認させる広告の表示を禁じています。
この法律に反した場合には、6か月以下の懲役または100万円以下の罰金が科せられます。

不動産の表示に関する公正競争規約

不動産の表示に関する公正競争規約とは、不当景品類及び不当表示防止法に基づいて、不動産公正取引協議会連合会が定めたものです。
この規約の順守を求められるのは、不動産公正取引協議会連合会の会員である不動産事業者となります。
また、不動産事業者からの依頼を受けて広告制作をおこなう事業者に対しても、適切な内容で製作するよう努めることを求めています。
不動産の表示に関する公正競争規約のなかで、おとり物件について記載があるのは、第21条から第23条までです。
このなかでは、契約ができないおとり広告の表示を禁止するとともに、不当な比較広告や不当表示を規制しています。

不動産の表示に関する公正競争規約で禁止された不当表示とは

不動産公正取引協議会連合会が定めた不動産の表示に関する公正競争規約のなかでは、さまざまなおとり物件の広告表示の例が記載されています。
具体的には、所在地・交通の利便性・駅までの距離といったものについて、実際よりも優良と認識させる広告表示が規制対象です。
また、建物の間取りや住宅・店舗といった用途に関しても、誤解を招く表示を規制しています。
さらに、土壌・建物構造・建物の設備はもちろんのこと、広告写真・賃料・契約条件についても、実際よりも有利と誤認させる表示を規制していることがポイントです。

賃貸物件におけるおとり物件の見分け方

賃貸物件におけるおとり物件の見分け方

実際に賃貸物件を探すにあたり、おとり物件にだまされないよう気を付けることが大切です。
おとり物件の見分け方をチェックして、安心できる賃貸物件探しを始めましょう。

相場と条件がかけ離れていないか

おとり物件の見分け方として、まず挙げられるのが、提示されている条件が相場とかけ離れているかどうかです。
周辺の似た賃貸物件と比較して家賃が安すぎる場合、集客を目的としたおとり物件の可能性があります。
また、実際に有利な条件の賃貸物件が存在するとしても、築年数や設備が実際と異なる可能性も考えなくてはなりません。
もちろん、賃貸物件のなかには事情により、あえて家賃を大幅に下げているケースも存在します。
おとり物件ではないとしても、事故物件など入居者が集まりにくい理由がある賃貸物件ではないかチェックすることも大切な見分け方です。

現地で内覧の対応をしてもらえるか

悪意のあるおとり物件の場合、現地集合での内覧は断られることから、こうしたポイントがおとり物件の見分け方になります。
現地集合ではなく、不動産業者の事務所へ来るように促されるならば、ほかの賃貸物件へ誘導するおとり物件の可能性があります。
また、問い合わせの電話で内覧が可能であると即答する場合にも、おとり物件への注意が必要です。
一般的に、賃貸物件の内覧可否は即得できず、大家さんへの空室確認が必須です。
したがって、こうした確認作業をせずに内覧が可能であると即答されたなら、別の賃貸物件へ誘導されるリスクが否定できません。

賃貸物件の住所が記載されているか

存在しないおとり物件の見分け方として有効なのが、物件情報の住所欄があいまいな情報ではないかといったものです。
住所情報が町名のみである場合、賃貸物件自体が存在しないおとり物件の可能性があります。
また、住所だけでなく室内設備について情報が少なすぎる場合にも、架空のおとり物件の可能性が考えられます。
このほかの見分け方として、ほかの賃貸物件の情報と写真が同じである場合や写真がない場合にも、おとり物件の可能性を考えることが大切です。
存在しないおとり物件においては、インターネット上の物件情報が少なすぎることが特徴です。
まずは、公開されている物件情報を見極めて、おとり物件かどうかを判断しましょう。

まとめ

おとり物件とは、主に集客を目的とした架空物件などを指します。
事実より優良だと誤認させるおとり広告は、宅地建物取引業法と不動産の表示に関する公正競争規約により規制されています。
近隣の相場や現地集合の可否など、おとり物件の見分け方もチェックして、安心できる賃貸物件探しを考えてみてください。