外国人に不動産を売却するケースが増えている?理由やメリットもご紹介

外国人に不動産を売却するケースが増えている?理由やメリットもご紹介

不動産の売却事例をみてみると、日本人ではなく外国人に売却したケースが増えています。
実際に外国人へ売却するとしても、外国人に売却する理由やメリット・デメリット、手続きの流れなど事前に確認しておきたい点は山ほどあるでしょう。
そこで今回は、外国人に不動産を売却する理由とメリット、手続きの流れを解説します。

外国人に不動産を売却するケースが増えている理由

外国人に不動産を売却するケースが増えている理由

不動産を外国人に売却する件数が増えている理由は、投資用と居住用の両側面からの需要の高まりによるものです。

外国人に売却する理由①投資用としての需要の高まり

日本国内の不動産を外国人が購入する場合、永住権の有無は関係ありません。
所有する不動産の数に制限も設けられていないため、購入・売却・相続もすべて外国人の意思で自由におこなうことができます。
不動産の売却時などに発生する税額負担も、外国人に対して特別なルールは定められておらず、日本人と同様に負担すればよいとされています。
また、日本の不動産は海外よりも安価で購入できるため、初期投資に必要なコストを削減でき、安定した家賃収入も期待できるでしょう。
このように、日本の不動産は低コストで高い利回りを実現できる可能性があることが、日本の不動産を購入したいと考える外国人が増えている理由のひとつといえます。

外国人に売却する理由②居住用としての需要の高まり

2019年時点で東京都内に55万人を超える外国人労働者を含むなど、近年、海外から来て日本で暮らす人々の数は増加傾向にあります。
海外から日本へ来た場合は、生活拠点を設ける必要があるため、居住用の不動産を準備しなければなりません。
居住用の不動産には賃貸物件もありますが、現在の日本は低金利で住宅ローンを組みやすいため、不動産を購入する人も珍しくありません。
高収入を得ている外国人も同様に居住用の不動産を購入するケースが多くなっており、日本人ではなく外国人に不動産を売却する事例が増えています。

外国人に不動産を売却するメリットおよびデメリット

外国人に不動産を売却するメリットおよびデメリット

外国人に不動産を売却する場合は、メリットもデメリットも両方あることを理解し、実際に売却するか検討することが大切です。

外国人に不動産売却するメリット

不動産の売却先に外国人を含めると、売却につながる可能性が高まります。
海外の投資家が日本国内の不動産を投資目的で購入する流れは今後も続くと予想されるため、売却先に外国人を含めれば、売買契約が成立する確率が高まるでしょう。
また、日本人と外国人では居住用不動産の選び方に大きな違いがあります。
日本人には見向きされない物件でも、外国人からの需要が高いことがあります。
たとえば、不動産を選ぶ際、日本人も外国人も立地を重視することが多いです。
しかし、日本人は価格や間取りを重視するのに対し、外国人はキッチンの設備やバルコニーの有無に注目することが多いです。
日本人と外国人では不動産選びの条件が異なるため、日本人だけでなく外国人も含めて売却先を検討すれば、売買契約に至るまでの期間を短縮できる可能性が高まります。
できるだけ早く不動産を売却したい方や、購入希望者が見つからない方にとって、外国人への売却には大きなメリットがあります。

外国人に不動産を売却するデメリット

外国人に不動産を売却する場合、買主が住宅ローン審査に落ちて売却ができないおそれがあります。
住宅ローン審査に落ちやすい理由は、金融機関が外国人に対して融資を避ける傾向があるためです。
外国人が住宅ローン審査を通過するためには、団体信用生命保険への加入や申し込み時点での年齢が20~65歳であることなど、一定の条件を満たす必要があります。
基本的に住宅ローンを組めるのは特別永住者に限られており、外国人にとってローンを組むのはハードルが高いと言えるでしょう。
なお、本人に永住許可がなくても、日本人または永住許可のある方が配偶者であり、その方が連帯保証人になる場合は、住宅ローンを組める可能性があります。
夫婦の両方が外国人で永住許可がない場合、住宅ローン審査に落ちる可能性が高く、その場合は現金での一括払いしか購入方法はありません。
外国人によっては住宅ローンを借りる前提で交渉を進める場合もあるため、事前に購入資金の調達方法を明確にしておくことが重要です。
売却の段階で購入資金が不足し、不動産が売却できない事態を防ぐためには、この点に注意しましょう。
また、売却後に不動産の管理方法などでトラブルが発生しやすいことも、外国人に不動産を売却するデメリットの一つです。
トラブルを未然に防ぐためにも、日常生活のルールやマナー、自治会との取り決めなどを丁寧に説明しておくことをおすすめします。

外国人に不動産売却する流れ

外国人に不動産売却する流れ

不動産を売却する相手が外国人であっても、その方が日本在住であれば手続きの流れに大きな違いが生じることはありません。
ただし、必要書類の準備に一定時間を要するケースも珍しくないため、スムーズな流れで手続きを進められない可能性があることを覚えておきましょう。
ごく一般的に不動産を売却する流れは、以下のとおりです。

●不動産を査定してもらう
●売却活動を依頼する不動産会社を選び媒介契約を結ぶ
●売却活動を開始する
●買主と売買契約を結ぶ
●売買代金の決済および不動産の引き渡しをおこなう


不動産の買主が外国人のケースでも、この流れと大きく異なることは少ないです。
なお、売却相手が外国人であっても、売買契約にて準備する売買契約書は日本語にて作成するのが基本です。

日本語が話せない外国人に不動産を売却する流れ

不動産の買主が日本語を話せない外国人の場合、言葉の壁に配慮しながら手続きを進める必要があります。
外国語での会話に不安を感じる方は、外国語対応が可能な不動産会社を利用して契約することをおすすめします。
これにより、契約内容などでトラブルが生じた場合、不動産会社に対応を依頼できる可能性があるでしょう。
売却する不動産の下見をおこない、買主が購入手続きに進むことが適切と判断したら、買付証明書の準備に入ります。
買付証明書は日本語表記のため、日本語を話せない方との契約では、買主の母国語などに翻訳した書類を準備する必要があります。
売買契約書も同様に、相手が理解できる言語に翻訳する必要があるでしょう。
契約時に通訳を介して買主とやり取りをおこなう場合、通訳者に売買契約書および不動産の重要事項説明書への署名と押印をしてもらう必要があります。
また、2枚の書類の内容を通訳してもらう旨を記載した委任状も必要になるため、売買契約などの前に準備を済ませておくことが重要です。
売買契約を結び、手付金などの支払いが終わったあとは、不動産登記をおこない、物件の引き渡しで手続きが完了します。
買主に納得して費用を支払ってもらうために、内訳などを丁寧に説明しておくと良いでしょう。

海外に住む外国人に不動産を売却する注意点

不動産を海外で暮らす外国人に売却する場合、不動産の重要事項を事前に説明することが必要です。
原則として対面での説明が求められていましたが、2017年にオンライン通話での説明方法が許可されたため、Web会議アプリなどを利用して手軽に対応できるようになりました。
ただし、不動産会社によってはオンライン通話に対応していない場合もあるため、海外に住む外国人を売却先として検討する際は、オンライン対応の可否を事前に確認してから契約してください。

まとめ

外国人に不動産を売却するケースが増加している理由は、投資用や居住用不動産への需要の高まりです。
売却できる確率が上がるメリットはありますが、住宅ローン審査に落ちやすいなどデメリットも大きいです。
売却の流れに大きな違いはないので、落ち着いて丁寧に進めましょう。