年金をもらっている方が不動産売却をおこなうと支給額はどうなるのか?
年金をもらっている高齢者が、生活資金や介護施設への入居費用のために、不動産売却をおこなうケースは珍しくありません。
しかしその場合、年金が減額されると思われている方が多く、不動産を売却することに不安を感じている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そこで今回は、年金をもらっている方が不動産売却をおこなうと支給額はどうなるのか、その際の税金や注意点について解説します。
不動産売却をご検討中の方は、ぜひ参考にしてみてください。
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不動産売却をおこなうと年金が減額されるのか
年金を受け取っている方が所得を得ると、年金が減額されるという話を聞いたことがある方もいらっしゃるかもしれません。
高齢者にとって大切な生活資金である年金が減額されると、大問題です。
相続対策やまとまった資金が必要になり、自宅を売却したいと考えている方のなかには、その理由で売却を躊躇する場合もあります。
結論として、不動産売却をおこなっても年金が減額されることはありません。
なぜなら、年金額は前年度の所得によって変動するものではないからです。
では、なぜそのような話が出てくるのか、その原因を知るために、年金の基礎知識について確認しておきましょう。
年金とは
年金とは、一定の年齢に達した高齢者に対し、終身または一定期間、定期的・継続的に給付されるお金のことです。
年金にはいくつかの種類があり、国が運営・管理している公的年金は、「国民年金(基礎年金)」と「厚生年金」です。
自営業の方は、基本的に国民年金のみに加入しています。
会社員は、厚生年金に加入するのが一般的で、厚生年金に加入している方は、自動的に国民年金にも加入しています。
つまり、厚生年金に加入していた方には、国民年金と厚生年金の両方が支給されるということです。
厚生年金の減額制度について
年金は、原則として65歳から受け取ることができます。
ただし、65歳以上で働いており、厚生年金を支払っている方には、その所得によって年金が減額される制度があります。
不動産売却によって所得を得ると、年金が減額されるという話は、この制度が要因の一つかもしれません。
しかし、厚生年金の減額の対象となるのは、働きながら厚生年金を支払っている方で、年金の基本月額と給与などの総報酬月額の合計が一定のラインを超えた場合です。
不動産売却で得た所得は、その対象には含まれません。
つまり、不動産売却が厚生年金の減額に影響するわけではないのです。
障害基礎年金は減額される場合がある
障害基礎年金とは、病気やけがで医師の診療を受け、国民年金に加入していた場合に、仕事などが制限されるようになっても受け取れる年金のことです。
ただし、20歳に達する前に初診日がある場合は、本人が年金に加入していないため、所得制限が設けられています。
不動産売却によって得た譲渡所得が定められた制限額を超えると、年金が減額または支給停止となる場合があるため、注意が必要です。
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年金をもらっている方が不動産売却をおこなうと課される税金
年金をもらっている方が不動産を売却しても、年金の支給額に影響しないことを前章で解説しましたが、譲渡所得に課される税金は支払わなければなりません。
そこで次に、不動産を売却した際に課される税金について解説します。
譲渡所得を得た場合は税金が課される
不動産を売却して得た譲渡所得に対しては、「所得税」「住民税」「復興特別所得税」が課されます。
この3つの税金を総称して「譲渡所得税」といいます。
売却後に思わぬ出費となり慌てないためにも、事前に税額を把握しておくと安心です。
課税対象となる譲渡所得は、以下の方法で計算します。
譲渡所得=売却金額-取得費-譲渡費用
譲渡所得とは、不動産の売却金額から経費を差し引いた「利益」を指します。
取得費とは、不動産の購入代金や購入時の諸費用など、売却する不動産を購入するために支払った費用の合計です。
譲渡費用とは、不動産を売却するために支払った費用を指します。
つまり、手元に入った売却代金から経費を差し引いた金額に対して、譲渡所得税が課されるのです。
また、譲渡所得税を軽減するための控除制度が設けられています。
代表的な控除制度に「3,000万円の特別控除の特例」があり、譲渡所得から最大3,000万円が控除されるため、一般的な住宅の場合、譲渡所得がゼロ以下になることがほとんどです。
譲渡所得がゼロ以下になった場合は、譲渡所得税は課されません。
譲渡所得がプラスになった場合は、税金が課されるため、確定申告が必要です。
上記の計算によって譲渡所得を得た場合は、その金額に税率を乗じて納税します。
なお、税率は不動産の所有期間によって異なります。
譲渡した年の1月1日時点で所有期間が5年を超える場合は「長期譲渡所得」、5年以下の場合は「短期譲渡所得」に分類され、税率は以下のとおりです。
●短期譲渡所得…39.63%(所得税30%+復興特別所得税0.63%+住民税9%)
●長期譲渡所得…20.315%(所得税15%+復興特別所得税0.315%+住民税5%)
上記からもわかるように、「短期譲渡所得」の税率は「長期譲渡所得」の約2倍となるため、不動産を売却するタイミングの参考に知っておきましょう。
翌年の住民税が上がる
住民税は、前年度の所得に応じて税額が決まります。
不動産を売却して譲渡所得を得た場合は、住民税の負担が増えることを頭に入れておく必要があります。
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年金をもらっている方が不動産売却をおこなう際の注意点
最後に、年金をもらっている方が不動産を売却するうえで、知っておきたい注意点について解説します。
注意点1:税金がかかる場合がある
前章でも解説したように、不動産を売却して譲渡所得を得ると、譲渡所得税が課されます。
譲渡所得税は、売却した翌年の確定申告の際に、現金で納めなければなりません。
そのため、税額を事前に把握し、その分の現金を確保しておく必要があります。
注意点2:国民健康保険料が上がる
75歳になると、国民健康保険や勤め先の健康保険から後期高齢者医療制度へ加入することになります。
後期高齢者医療制度の保険料は、年金から天引きされるため、保険料の金額を把握している方は少ないかもしれません。
後期高齢者医療制度の保険料は前年度の所得額によって決まるため、不動産売却で譲渡所得を得た場合、保険料が上がります。
つまり、売却前より多くの保険料が天引きされるため、受け取る年金は少なくなります。
このことも、不動産を売却すると年金が減ると思われる要因の一つでしょう。
注意点3:生活設計を立てる
先述のとおり、不動産を売却すると、住民税や後期高齢者医療制度の保険料が上がる場合があります。
そのため、売却前より税金の支払いが増えたり、保険料の上昇により受け取る年金額が少なくなったりすることで、生活に影響を及ぼす可能性があります。
したがって、年金を受け取っている方が不動産を売却する場合は、売却後の生活設計をしっかり立てたうえで検討することが大切です。
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まとめ
年金をもらっている方が不動産を売却すると、支給される年金の金額が減ると思われている方がいらっしゃいます。
しかし、不動産売却をおこなったことによって年金が減額になることはありません。
ただし、不動産売却で譲渡所得を得ると税金が課されるうえに、翌年の住民税や、後期高齢者医療制度の保険料が上がるため、売却後の収入や支出を計算したうえで検討するようにしましょう。
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