空き家の相続税はどうなる?特例の適用条件についても解説

事務員 S

筆者 事務員 S

不動産キャリア12年

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空き家の相続税はどうなる?特例の適用条件についても解説

空き家を相続する際、相続税が発生するかどうかは多くの方にとって大きな関心事です。
相続税の計算方法や特例を正しく理解することが、負担軽減の第一歩となります。
相続税を抑えるための対策を事前に知っておくことも大切です。
この記事では、空き家の相続税に関する基本知識や計算方法、節税対策を解説します。

空き家の相続税はどうなるのかについて

空き家の相続税はどうなるのかについて

空き家を相続する際、その敷地に対する相続税が気になる方は多いです。
しかし、「小規模宅地等の特例」を活用すると、一定の条件下で相続税評価額を大きく減額できます。
ここでは、この特例の適用要件や注意点を解説します。

小規模宅地等の特例とは

小規模宅地等の特例とは、被相続人の居住用宅地等を相続する際に、その土地の相続税評価額を最大80%減額できる制度です。
特定居住用宅地等として認められると、330平方メートルまで80%の評価減が適用されます。
適用には、被相続人が生前に居住用として使用していたことや、相続人が引き続き居住することなどの要件を満たす必要があります。
なお、この特例を受けるためには、相続税の申告書に必要書類を添付するほか、被相続人が生前に実際に居住していたことを示す証拠の提出も求められます。
公共料金の領収書や住民票など、客観的に居住実態を裏付ける書類を早めに揃えることが大切です。
提出期限を過ぎると、特例適用が認められない場合もあるため、遅滞なく手続きする必要があります。

空き家に特例を適用する際の注意点

空き家に小規模宅地等の特例を適用するには、相続開始後に事業用や賃貸用、ほかの親族の居住用として使われていないことが必要です。
被相続人が老人ホームに入居していた場合でも、生前に居住していた宅地であり、入居後も他の用途に使われていなければ特例が認められることがあります。
要件を満たさないと特例が適用されず、相続税の負担が増える可能性があるため、事前に条件を確認しましょう。
空き家が遺産全体の大部分を占める場合、特例の有無で相続税額が大きく変化します。
誰がどのように空き家を使用していたのか、利用実態を正確に把握することが不可欠です。
また、老人ホーム入居の状況によっては特例適用の可否が複雑化するため、専門家への相談も検討しましょう。

特例適用後の空き家売却と税制上の優遇措置

小規模宅地等の特例で相続税を軽減した後に空き家を売却すると、「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」により、譲渡所得から最大3,000万円の特別控除を受けられる可能性があります。
適用には、被相続人が一人で居住していた家屋であることや、相続開始から3年以内の売却であることなど、いくつかの要件があります。
条件を満たせば、売却時の譲渡所得税も抑えられるため、相続後の空き家活用策として検討する価値があるでしょう。
3,000万円の特別控除を受けるには、売却家屋が被相続人の単独居住用だったことなど、細かな要件を確認する必要があります。
解体して更地で売却する場合も、相続開始後の使用状況を把握しておきましょう。
一時的に他者へ貸し出した履歴があれば、要件を満たさなくなる恐れがあるため注意が必要です。

空き家の相続税の計算方法について

空き家の相続税の計算方法について

空き家を相続する際、相続税の計算方法を把握することは重要です。
ここでは、基礎控除と小規模宅地等の特例を中心に解説します。

基礎控除

相続税の計算でまず考慮すべきなのは、基礎控除です。
基礎控除額は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」で求められ、相続財産の総額がこの額を下回れば相続税は発生しません。
法定相続人が2人なら4,200万円となり、これを超える場合にのみ相続税が課されます。
基礎控除は相続人全員が共有する控除額であり、遺産分割時にも注意が必要です。
基礎控除を超える遺産総額があるかどうかは、不動産評価の正確な把握から始まります。
固定資産税評価額や路線価は目安ですが、実勢価格と差がある場合も多く、専門家に再評価を依頼する選択も有効です。
また、相続人の数で控除額が変動するため、遺言や認知された子の有無など、法定相続人を確定する手続きも重要です。

小規模宅地等の特例

被相続人の居住用宅地を相続した場合、小規模宅地等の特例を適用すると最大330平方メートルまで80%の評価減が受けられます。
相続税の申告期限まで相続人が宅地を所有し、引き続き居住するなどの要件を満たす必要があります。
たとえば、評価額5,000万円の土地でも特例により1,000万円に評価が下がるため、税負担の軽減効果は大きいです。
特例を受けるには、相続税の申告期限まで同一敷地に居住することや、処分しないことなどが条件です。
相続後すぐに売却や転用をおこなうと、要件から外れる場合があるため注意しましょう。
また、住民票の移動日時や水道・電気の使用実態など、居住の証拠を整理しておくと申告時にスムーズです。

空き家の相続税対策について

空き家の相続税対策について

空き家を相続する際、税負担を軽減するための対策を把握しておくことが大切です。
ここでは、相続発生前と相続発生後に分けて対策を紹介します。

相続発生前

相続発生前の対策として、被相続人と相続人が同居しておくと、小規模宅地等の特例が適用される可能性が高まります。
ただし、単に住民票を移しただけでは認められない場合があるため、実際に同居している事実が重要です。
また、生前に空き家を賃貸物件として活用し、貸付事業を継続することで、貸付事業用宅地等の特例を受けられる場合があります。
ただし、相続開始前3年以内の貸付開始は特例の対象外となるため、早めに取り組むことが望ましいです。
さらに、生前に空き家を売却して、居住用財産の3,000万円特別控除を利用する方法もあります。
被相続人と同居する場合、単に住民票を移しただけでは不十分で、実際に生活を共にしている証拠が重要です。
公共料金の支払い状況や郵便物の受け取りなど、客観的に同居実態を示す記録を残しておきましょう。
また、貸付事業を始める際は、相続開始前3年以内の新規貸付が特例対象外になるため、早めに計画を立てる必要があります。

相続発生後

相続発生後においても、空き家を売却して「被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除」を受けることが考えられます。
売却価格が1億円以下であり、3年目の12月31日までに売却するなどの要件を満たすと、譲渡所得から最大3,000万円が控除されます。
また、相続後に空き家を賃貸に出して家賃収入を得る方法もありますが、管理や維持費用などの手間がかかる点に注意が必要です。
相続放棄や寄付という選択肢もありますが、他の財産を含めた検討や、受け入れ先の確認など、事前に十分調査しましょう。
特別控除で売却を進める場合は、相続後に早めに不動産市場を調べ、売却計画を立てましょう。
なお、期限を過ぎると、控除が受けられない恐れがあります。
賃貸を検討するなら、修繕費や老朽化対策を踏まえた資金計画が必要です。
相続放棄や寄付を選択する場合は、他の財産への影響も考慮し、慎重に判断しましょう。

まとめ

空き家の相続税は、特例の適用可否により異なるため、事前に詳細を確認することが重要です。
基礎控除や特例の条件を正確に把握し、相続税の計算を正しくおこなわなければなりません。
税負担を軽減するために、早めに準備を進め、スムーズな相続手続きを目指しましょう。