空き家で可能な家族信託とは?メリットや空き家が生まれる原因も解説!
空き家の相続が控えているとき、受け取った物件の扱いで将来困らないか、不安を感じるところではないでしょうか。
空き家が生まれる原因や有効な対策を事前に確認しておくと、将来の相続で困りにくくなります。
そこで今回は、空き家が生まれる原因にふれたのち、対策として有効な家族信託の概要やメリットを解説します。
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空き家は何が原因で生まれる?家族信託にあたっての基本
空き家が生まれる原因は、以下のとおりです。
高齢者世帯の増加
空き家が生まれる総合的な原因は、高齢者世帯の増加にあります。
65歳以上の高齢者がいる世帯は、平成7年の時点では31.1%でしたが、同17年には39.4%、同27年には41.7%となっていることが、内閣府の調査で判明しています。
また、自宅が空き家となりやすい高齢者の単身世帯と高齢者のみの世帯は、平成27年の時点で全体の4割を超えました。
高齢者がいる世帯は、今後も増加する一方だと見られています。
このような高齢者世帯の増加は、空き家が生まれる主な原因として押さえたいポイントです。
相続
空き家が生まれる直接的な原因は、まず相続です。
相続が起きたときに相続人がいなければ、遺産を受け取る相手が誰もいないことになります。
このとき、遺産は国庫に帰属されますが、誰が手続きをするのかが問題です。
相続人が不在のとき、遺産の後処理をしなくとも実害を被る方がいないため、故人の空き家がそのまま放置されるケースがあります。
また、相続人がいたとしても、遺産分割がうまくおこなわれないと、空き家が共有状態となります。
共有状態となった不動産は、処分にあたって権利者全員の同意が必要です。
さらに、共有状態のままで次の相続が起きると、不動産の権利関係がより複雑になってしまいます。
結果として不動産の処分がますます困難になり、空き家のまま放置せざるを得なくなるケースがあります。
空き家を特定の相続人が受け取ったときは、本人が遠方で、すでに自宅を構えているケースに注意が必要です。
遠方に自宅を持つ相続人が空き家を受け取ると、物件を十分に管理できず、そのまま放置される傾向にあります。
所有者の認知症
所有者の認知症は、空き家が生まれる主な原因のひとつです。
本人が認知症になると、所有者に十分な判断能力がないとみなされるため、不動産の売買契約を締結できません。
代理人を立てる方法も、手続きを第三者に任せるだけの判断能力が必要なため、所有者が認知症になったときは不可能です。
結果として、相続が起きるまで空き家を処分できなくなり、そのまま放置せざるを得ないことがあります。
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空き家で可能な家族信託とはどのような制度なのか
家族信託に関する制度の概要は、以下のとおりです。
制度の概要
家族信託とは、財産を管理する権限を家族に移せる制度です。
親が所有している家に関して、家族信託で管理の権限を子に移しておくと、以後は子のほうで不動産の活用や処分などをおこなえるようになります。
不動産を子が自由に扱える点で、所有権を移す制度のように見えるかもしれません。
しかし、家族信託は所有権を丸ごと移す制度ではなく、権利関係をどうするかは柔軟に調整できます。
家の実質的な所有者は親としたまま、管理の権限だけを子に移せるため、将来を見越した空き家対策としてうまく機能します。
制度の仕組み
家族信託の仕組みは、委託者・受託者・受益者の三者からなっています。
委託者は財産の管理を家族に任せる方であり、反対に管理を請け負う方が受託者にあたります。
受益者とは、受託者が管理する財産の利益を受け取る方です。
空き家対策として家を管理する権限だけを子に移したいなら、家の所有者である親を委託者と受益者、子を受託者とするのが基本です。
こうすれば、管理の権限だけは子に移しつつ、親はこれまでどおりに財産の利益を受け取れます。
親は実質的な所有者のままでいられますが、管理の権限はすでに子へと移っているため、親に万一のことがあっても不動産の扱いには困りません。
親がもし認知症になっても、家の管理は受託者となった子のほうで変わらずおこなえます。
そのため、相続が起きるまで空き家のまま放置する事態にはならず、親の家が不要なら柔軟に処分できます。
売却によって、まとまったお金を工面できると、親の介護費用や施設への入居金などを捻出しやすくなって安心です。
なお、受託者となる子は財産の管理を請け負うからといって、親の近くに住んでいる必要はありません。
遠方に住んでいる子でも受託者になるのは可能であり、親に代わって財産の管理を引き受けられます。
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空き家対策を家族信託でおこなうメリット
空き家対策を家族信託でおこなうメリットは以下のとおりです。
贈与税を回避できる
空き家対策を家族信託でおこなうと、生前贈与と違って贈与税が課せられません。
生前贈与は、生きているうちに自身の財産を子などへと贈与する方法です。
贈与した財産は受け取った相手のほうで自由に扱えるため、生前贈与でも空き家対策は可能です。
しかし、贈与税の基礎控除額は110万円しかなく、不動産の生前贈与では高額な税金が発生しかねません。
この点、家族信託は贈与に該当しない形で利用可能です。
家の所有者である親を委託者と受益者、子を受託者とすれば贈与に該当しないため、課税を避けられます。
納税をどうするか考える必要がなく、家を管理する権限を気軽に子へと移せるのは、空き家対策においてのメリットです。
不動産の処分に許可が必要ない
家族信託を利用すると、受託者のほうで不動産を自由に処分できます。
不動産の処分に制限を受けないのは、空き家対策の一種である成年後見制度や財産管理委任契約にはないメリットです。
成年後見制度を利用すると成年後見人が選任されますが、被後見人の自宅を売却するには、家庭裁判所の許可が必要です。
財産管理委任契約を結ぶと、財産管理が委任されるものの、不動産売却は重要行為であり、所有者の意思を確認しなくてはなりません。
このような制限がなく、第三者の意向や所有者の認知症などで不動産の処分が頓挫しない点は、家族信託のメリットです。
将来の財産継承を指定できる
空き家対策を考えるうえで、家の将来的な所有者が決まっているかどうかは大事なポイントです。
家の今後の所有者が曖昧だと、相続で誰も物件を受け取らず、そのまま空き家として建物や土地が荒れていくリスクがあるからです。
この点、家族信託は遺言と異なり、将来的な財産継承の予定まで立てられます。
次に、財産を受け取る方に限らず、その先の所有者まで指定しておけるため、将来に家を誰も受け取らない事態を防ぎやすくなります。
空き家の管理が継続的におこなわれやすい
空き家対策における家族信託のメリットには、受託者によって家の管理が継続されやすいことが挙げられます。
受託者となった方は、委託された財産の管理人となり、活用や処分を自由におこなえる代わりに、さまざまな義務が課せられています。
その関係で、受託者は委託された財産の管理を簡単には放棄できません。
受託者が遠方に住んでいることは、管理を放棄する理由としては不十分です。
このような義務により、家が空き家になって荒れていく事態を防ぎやすいことは、家族信託のメリットです。
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まとめ
空き家が生まれる総合的な原因は高齢者世帯の増加にあり、直接的な原因は相続人がいないといった相続の問題や、所有者本人の認知症などです。
家族信託とは、財産を管理する権限を家族へと移せる制度で、仕組みは財産の管理を任せる委託者、管理を請け負う受託者、財産の利益を受け取る受益者からなっています。
空き家対策に家族信託を選ぶメリットは、贈与税を課せられなかったり、不動産を自由に処分できたりすることです。
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