賃貸物件の解約予告期間はどのくらいの長さ?手続き方法なども解説!

事務員 S

筆者 事務員 S

不動産キャリア12年

明るく元気がモットーです!

賃貸物件の解約予告期間はどのくらいの長さ?手続き方法なども解説!

ライフスタイルの変化をきっかけに、新しい賃貸物件を検討される方もいらっしゃるでしょう。
賃貸物件には退去の予告期間が定められおり、「引っ越したい」と思ってすぐに実行できるわけではありません。
この記事では、賃貸物件の退去における予告期間の長さ、退去時の手続き方法について解説します。
これから賃貸物件を退去しようとお考えの方は、ぜひ参考になさってください。

賃貸物件の解約予告期間とは

賃貸物件の解約予告期間とは

賃貸物件を退去したい場合、借主にその旨を伝える「解約予告」が必要です。
はじめに、解約予告の期間と解約予告が必要な理由を解説します。

解約予告期間とは

賃貸の解約予告とは、借主や貸主が賃貸借契約の期間満了前に解約の意思を事前に伝えることを指します。
賃貸物件を借りる際は賃貸借契約を結び、期限が来たら更新または契約を解消して退去となります。
中途解約を希望する場合は、契約期間満了日を待たずに、契約したい旨を告知しなければなりません。
賃貸借契約で定められた解約に必要な申し出の期間を、解約予告期間といいます。
たとえば解約予告期間が1か月であれば、退去する1か月前までに告知が必要です。
なお、解約予告は借主がおこなう場合もあれば、貸主から言い渡される場合もあります。

解約予告が必要な理由

解約予告が設けられているのは、貸主の収入を維持するためと、貸主・借主間のトラブルを回避するためです。
借主が突然退去すると空室ができ、家賃収入が途絶えてしまうため、賃貸経営が難しくなってしまいます。
解約予告期間があることで、貸主は余裕をもって次の入居者を募集でき、継続的に家賃収入を得られるようになります。
また借主からしても、事前に予告を受けずに急に退去を求められると困ってしまいますよね。
あらかじめ退去の日がわかっていれば、引越し費用の調達や転居先を探す時間を確保できます。
なお、予告を怠ると貸主から違約金を求められる可能性があるため、必ず解約予告期間は守るようにしてください。
解約予告期間は賃貸借契約書に記載されているので、引っ越しを検討し始めたら契約書を確認しておきましょう。

借主事情と貸主事情の違い

借地借家法では、「貸主からの途中解約や更新拒絶通知は正当事由がある場合にのみ認められる」と定められています。
借主が途中で退去したい場合に正当事由は求められませんが、貸主側から退去を申し出る際は正当事由が必要です。
正当事由とは、建物の老朽化や災害による損壊・滅失で居住が危険な状態である、再開発事業の計画があるなどです。
また借主が家賃滞納を繰り返している、嫌がらせなどの迷惑行為をしているなど、貸主の素行が原因となって退去を命じられることもあります。

賃貸物件の解約予告期間はどのくらいの長さ?

賃貸物件の解約予告期間はどのくらいの長さ?

賃貸物件を退去する際は告知が必要とわかりましたが、どのくらいの期間が設けられているのでしょうか。
ここからは、解約予告期間の長さと、期限を過ぎてしまった場合の対処法などを解説します。

予告期間は1か月から3か月

賃貸物件の解約予告期間は、物件によっても異なりますが、1か月から3か月程度が一般的です。
これは居住用物件の場合で、飲食店等の貸しテナントの解約予告期間は、3か月から6か月程度と少し長めに設定されています。
貸しテナントは住居用の賃貸物件と比べて入居者が見つかりにくく、原状回復にも時間がかかるためです。
また引越しを急ぐ理由がなく、いつ退去しようかお悩みの場合は、終了月の家賃を確認してから決めるのがおすすめです。
月割りの場合は、月初めで退去しても1か月分の家賃を支払わなければならず、新居と二重に家賃を支払う期間が発生してしまいます。
引越し費用の負担を軽減するためにも、契約書で予告期間と終了月の家賃を確認してから、引越し日を決めるようにしましょう。

予告期間を過ぎたらどうなる?

仕事や学業が忙しく、「契約書を見たら予告期間を過ぎていた」ということもあるでしょう。
予告期間を過ぎてしまったら、基本的には過ぎた日数分の家賃を日割り計算で支払うことになります。
解約予告のタイミングが更新時期とかぶっている場合は、更新料を求められることもあるため注意が必要です。
ただし貸主との関係性によっては、数日程度であれば見逃してくれるケースもあります。
解約予告期間が過ぎていることに気付いたら、その時点で速やかに貸主に相談しましょう。

解約予告を取り消したい場合は?

退去を申し出たものの、状況が変わって「やっぱり住み続けたい」となることがあるかもしれません。
この場合に退去の取り消しが可能かどうかは、次の入居者が決まっているかによって異なります。
次の入居者がすでに見つかっており、賃貸借契約を結んでいる場合は退去を取り消せない可能性が高いです。
入居者がまだ見つかっていなければ、貸主との相談によって退去を取り消せるかもしれません。
基本的には退去の取り消しはできないと考えた上で、引越しを検討することが大切です。

賃貸物件の解約予告期間を守るために必要なこと

賃貸物件の解約予告期間を守るために必要なこと

スムーズに解約手続きを進めるには、解約予告期間を守ることが大切です。
解約予告期間を守らないと、余分な費用が発生するほか、貸主とトラブルに発展する可能性があります。
最後に、解約予告の方法とトラブルを避けるための注意点について解説します。

解約予告の方法

解約予告をおこなう場合、貸主に対して解約通知書を提出する必要があります。
まずは電話で貸主に退去したい旨を伝え、どのように手続きを進めるのか確認しましょう。
解約通知書は賃貸借契約書と一緒に渡されているケースが多く、その場合は必要事項を記入して提出します。
貸主によっては、予告を受けてから必要書類を送ったり、他の必要書類を求めたりする場合もあります。
スムーズに手続きを進めるためにも、電話連絡の際に必要書類や今後の流れを確認しておきましょう。
なお、書類の提出を不要とする貸主もいますが、口頭のみで済ませるのはおすすめできません。
口約束だけで退去を進めてしまうと、あとで「言った言わない」のトラブルに発展する恐れがあります。
万が一トラブルに発展した際に証拠として残せるよう、書面で解約の意思を伝えることが大切です。
また、貸主によっては書類が届いた日を予告日とする場合もあれば、電話連絡日を予告日と見なす場合もあります。
貸主と借主の間で解釈が異なることのないよう、予告日がいつになるのかも確認しておくことをおすすめします。

解約予告期間に関する注意点

先述したように、契約期間や予告期間は賃貸借契約書に記載されています。
引越しを検討し始めたら、まずは賃貸借契約書をチェックし、いつ退去が必要かを考えましょう。
契約期間が満了する前に退去したい場合は、終了月の家賃についても確認しなければなりません。
また解約予告期間や家賃の支払いだけでなく、原状回復についてもあわせて確認しておく必要があります。
原状回復とは、賃貸借契約が終了した際に、借主が借りた部屋を入居時の状態に戻して貸主に返す義務です。
賃貸物件によっては、原状回復の特約や依頼先の指定などがあるため、そこも含めて確認することをおすすめします。

まとめ

賃貸物件を退去する際には、事前に定めた期間内に退去したい旨を告知しなければなりません。
住居用賃貸物件の解約予告期間は1か月から3か月が一般的で、期限を過ぎると余分な費用を支払うことになります。
貸主とのトラブルを避けてスムーズに手続きを進められるよう、引越しを検討し始めた時点で賃貸借契約書を確認し、予告期間や家賃の支払いについてもよく理解した上で、退去のタイミングを判断しましょう。