不動産売却にともなう火災保険の解約手続きを解説!解約日はいつにすべき?

不動産売却にともなう火災保険の解約手続きを解説!解約日はいつにすべき?

不動産売却時にはさまざまな手続きをおこなう必要があり、バタバタとしてしまいがちです。
そのため、不動産売却には直接的な関係のない「火災保険の解約手続き」を忘れてしまう方は少なくありません。
そこで今回は、不動産売却をご検討中の方に向けて、不動産売却にともなう火災保険の解約手続きについて解説します。
解約のタイミングや方法、返金の有無、解約前にすべきことなどをご説明しますので、ぜひ参考になさってください。

不動産売却にともなう火災保険の解約手続きとは?

不動産売却にともなう火災保険の解約手続きとは?

不動産売却時におこなう手続きのひとつに、火災保険の解約手続きがあります。
火災保険は、火災や落雷、水漏れなどの被害に遭った際に保険金がおりる損害保険です。
不動産売却をしたとしても、火災保険が自動的に解約されることはありません。
解約するためには、火災保険の契約者が自己申告をする必要があります。

火災保険の解約手続きの方法

火災保険の解約手続きでまずすべきことは、保険会社もしくは保険の代理店への電話です。
保険会社と直接契約をしているのか、代理店をとおしているのかは、火災保険の契約書で確認できます。
電話が終わると火災保険の解約書類が郵送で届くため、必要事項を記入して返送すれば手続きは完了です。
この場合の注意点として、火災保険の契約者本人が電話をすることが挙げられます。
契約者以外が電話をすると、たとえ家族であっても解約手続きはできません。
近年は、インターネット上で解約手続きをおこなえるケースも増えています。
火災保険を解約する旨をインターネット上で伝え、郵送されてきた解約書類を返送するパターンもあれば、解約手続きのすべてをインターネット上でおこなえるパターンもあり、保険会社によってさまざまです。
ご自身が加入している火災保険がインターネット上で解約できるかどうかは、保険会社のホームページなどでご確認ください。

不動産売却にともない火災保険を解約するタイミングは?

不動産売却にともない火災保険を解約する場合は、解約日を引き渡し日のあとにすると良いでしょう。
たとえ買主が見つかったとしても、引き渡し前に火災などが起こった場合は売主が修繕しなくてはならないためです。
引き渡し日は当初の予定から前後することが少なくないため、解約日を引き渡し日の数日あとにすると、なお安心できるでしょう。
解約書類を返送するパターンでは、事前に解約書類を受け取り、引き渡しを終えたあとに返送することも可能です。
ただし、引き渡しを終えたあとに引き渡し日と解約日を同日にして書類を返送するなど、解約日を過去の日付に設定することはできません。

火災保険に加入しているかどうかわからない場合は?

住宅ローンに加入しているかどうかわからない場合は、まず不動産購入時の書類を確認してみましょう。
契約書類内に火災保険に関する項目があったり、火災保険の書類が紛れていたりすることがあります。
クレジットカードや銀行口座の履歴を確認し、火災保険料の引き落としがないかどうかを確認するのも、ひとつの方法です。
また、火災保険への加入は住宅ローンを利用するための条件のひとつであるため、住宅ローンを利用している方であれば高確率で火災保険に加入しています。
絶対とは言い切れないのは、火災保険には保険期間があり、更新の手続きを怠った場合は無保険状態になっているためです。
そのほか、不動産を購入した不動産会社やハウスメーカー、住宅ローンを契約した金融機関に問い合わせる方法もあります。

不動産売却時に火災保険を解約すると返金される?

不動産売却時に火災保険を解約すると返金される?

不動産売却時かどうかにかかわらず、火災保険を中途解約するとお金が返ってくることがあります。
火災保険の中途解約で返金されるためのおもな条件は、次のとおりです。

●保険料を一括で支払っている
●保険期間が1か月以上残っている


火災保険料の支払い方法にはいくつか種類がありますが、返金を受けられるのは一括払いで支払い済みのケースのみとなっています。
また解約日から契約満了日までの期間が1か月以上あることも、条件のひとつです。
「あと3日で契約満了」というタイミングで中途解約をした場合、一括払いで保険料を支払っていたとしても返金は受けられません。

火災保険料の返金額の計算式

火災保険料の返金額(返戻金額)の計算式は「一括払い保険料×返戻率(未経過料率)」です。
おおまかな返金額を確認したい場合は、一括で支払った保険料の金額に、保険会社のホームページなどに記載されている返戻率を掛けてみてください。
たとえば、5年一括払いで6万円を支払い、2年11か月で中途解約をしたとします。
2年11か月の返戻率は、40%程度に設定されているケースが一般的です。
一括払い保険料と返戻率を計算式に当てはめると、「6万円×40%」で返金額は2.4万円となります。
返戻率は法律などで決められているわけではなく、各保険会社が独自に設定しています。
各社の返戻率に大きな差はありませんが、多少異なる可能性があるため、具体的な返金額を知りたい方は保険会社にお問い合わせください。

満期返戻金が支払われるケースもある

火災保険料のほとんどは掛け捨てですが、積立型の火災保険も存在します。
中途解約で返金を受けるための条件を満たしていなくても、積立型に加入している場合は満期返戻金を受け取れるかもしれません。
「火災保険が満期を迎える」「保険料を支払い済みである」「保険金の上限額を一括で受け取ったことがない」などが満期返戻金を受け取るための条件です。
積立型でも、中途解約で返金を受けるための条件を満たしている場合は返金を受けられますが、中途解約をしてしまうと満期返戻金は受け取れないためご注意ください。

不動産売却にともない火災保険を解約する前に家の修繕をすべき理由とは?

不動産売却にともない火災保険を解約する前に家の修繕をすべき理由とは?

不動産売却時に気をつけたいもののひとつに、「契約不適合責任」があります。
不動産の引き渡し後に売買契約書に記載のない不具合などが見つかった場合、売主がその責任を負うというものです。
たとえば、売却した家の屋根裏に契約書に記載のない雨漏りが生じており、引き渡し後に買主が見つけたとします。
買主から対応を求められた場合は、売主は雨漏りの存在を知らなかったとしても、修繕などの対応をしなくてはなりません。
売主が応じなかったり、不具合が重大だったりするケースでは、損害賠償を請求されたり、契約を白紙に戻されたりするおそれもあります。
そのため、不動産売却前には売却する家の点検をおこない、できる限り修繕することが大切です。

保険金を申請しても中途解約の返金を受けられる

家の修繕には、多額の費用がかかることがあります。
しかし修繕したからといって、修繕費用を回収できるような金額で不動産を売却できるとは限りません。
そこで活用したいのが、火災保険の保険金です。
どのような補償内容となっているかによって異なりますが、火災保険は火災だけでなく、台風や大雪で被害を受けた場合にも利用できます。
「模様替え中にタンスを倒して床が傷ついた」といった汚損・破損に対応しているケースも珍しくありません。
また建物だけでなく、家財(家具など)も火災保険の補償の対象です。
床や天井、外壁といった建物本体のほか、エアコンや浴槽、塀、車庫、テレビ、パソコン、自転車などまで、火災保険の保険金で修繕できる可能性があります。
火災保険を中途解約する際の返金は、保険金を請求したことがあっても受け取ることが可能です。
そのため、火災保険の解約前には保険金の申請をおこない、できる限り修繕することをおすすめします。

まとめ

不動産売却時には、火災保険の契約者自らが火災保険の解約手続きをしなくてはなりません。
中途解約の返金を受けられる可能性もあるため、忘れずに手続きをおこないましょう。
解約前には保険金を請求し、家の修繕をすることをおすすめします。