不動産売却後に確定申告が必要になるケースとは?必要書類や申告期間を解説

事務員 S

筆者 事務員 S

不動産キャリア11年

明るく元気がモットーです!

不動産売却後に確定申告が必要になるケースとは?必要書類や申告期間を解説

土地や建物を売った場合、確定申告が必要になる可能性があることをご存じでしょうか。
なかには、会社勤めで申告のやり方がわからず不安に思っている方や、譲渡所得に関する申告は始めてで心配な方もいらっしゃるかもしれません。
この記事では、不動産売却後に確定申告が必要になるケースや、申告時の必要書類、申告期間などを解説しますので、ぜひご参考になさってください。

不動産売却後に確定申告が必要になるケースとは?

不動産売却後に確定申告が必要になるケースとは?

マイホームなどの不動産を売り出した場合、確定申告が必要となる可能性があります。
具体的にどのようなケースで申告しなければならないのか、確認しておきましょう。

不動産売却で譲渡所得が発生した場合は確定申告が必要

原則として、不動産の売却によって利益(譲渡所得)が得られた場合、売り出した翌年に確定申告が必要となります。
会社勤めで毎月の給料を得ている方の場合、月々の給料から源泉徴収されているため、年末調整をおこなってさえいれば基本的に確定申告は必要ありません。
しかし、譲渡所得は源泉徴収されないため、申告が必要です。
譲渡所得には、その額に応じて所得税や住民税、都市計画税などが発生します。
譲渡所得が発生したにも関わらず申告しなかった場合、延滞税や無申告加算税などのペナルティが課せられてしまうので、忘れないように注意してください。

不動産売却で損失が出た場合は確定申告したほうが得

損失が出た場合は税金が発生しないため、確定申告の義務はありません。
しかし申告をすることで、他の不動産の売却益から損失分を差し引けるようになります。
また、売却した不動産がマイホームだった場合については、給料など他の種類の所得からも損失を差し引ける特例が利用できるため、全体的な税金の負担軽減に役立つでしょう。
このように不動産を売却した場合は、損をしていてもメリットがあるので、基本的には申告することがおすすめです。

自分で確定申告する際の手続きの流れ

自分で確定申告をする際は、①利用できる特例を確認する、②必要書類を準備する、③納税額を計算する、④申告書に記載する、⑤申告書を提出する、の流れが基本となります。
まずは利用できる特例がないか、確認しておきましょう。
利用する特例ごとに必要書類が異なるので、あらかじめ調べておく必要があります。
続いて、申告に必要となる書類を用意しましょう。
不動産売却をした場合は、売買契約書や領収書など、さまざまな書類が必要になります。
書類によって取得場所が異なる点に注意してください。
必要な書類を集め終わったら、納税額を計算して申告書に記載をしていきます。
計算といっても、基本は書類に記載された金額をそのまま申告書に記入していくものなので、難しくはありません。
最後に、できあがった申告書を提出すれば手続き終了です。

不動産売却後の確定申告時の必要書類

不動産売却後の確定申告時の必要書類

土地や建物を売った際の確定申告では、売買に関わるさまざまな書類を用意する必要があります。
具体的にどんな書類を用意すれば良いのか、確認しておきましょう。

確定申告書第一表・第二表

第一表・第二表とは、必ず提出しなければならない書類です。
第一表では前年の所得を、第二表では所得に関する根拠や詳細を記入します。
どちらも最寄りの税務署や市役所でもらえるほか、国税庁のホームページからダウンロードができます。
e-Taxによる電子申請を利用する場合、用紙を用意する必要はありません。

確定申告書第三表(分離課税用)

第三表とは、土地や建物、株式などの売買で得た所得を申告する際に必要となる書類です。
譲渡所得に関しては、通常の給与所得などと分けて計算する必要があります。
そのため不動産を売却した場合は、こちらも忘れずに用意しましょう。
こちらも第一表、第二表と同様、最寄りの税務署や市役所で入手できるほか、国税庁のホームページからダウンロードが可能です。
ただし電子申請の場合、用紙は必要ありません。

譲渡所得の内訳書

不動産を売却した場合は、譲渡所得の内訳書も提出する必要があります。
これは売却額や経費など、譲渡所得の内訳となる金額を記載するための用紙です。
用紙に関しては、基本的に不動産の売買が成立した後に国税庁から郵送されますが、最寄りの税務署でも入手可能です。
また、国税庁のホームページからもダウンロードできますので、郵送された用紙をなくしてしまった場合は、いずれかの方法で入手してください。

売買契約書(購入時・売却時)の写し

売却した際と、売り出した不動産を購入した際の売買契約書です。
譲渡所得の内訳書を記載するためと、提出のために必要となります。
手元にある契約書を自分でコピーしておきましょう。
購入時の売買契約書については用意できなくても問題はありませんが、購入代金を経費として差し引けなくなるので注意してください。

費用を証明する領収書など(購入時・売却時)の写し

売却した際と、売り出した不動産を購入した際にかかった費用の領収書などです。
具体的には仲介手数料、不動産取得税、印紙税、登記費用などが該当します。
それぞれの金額を証明できる書類の、コピーを用意してください。
用意できなくても問題はありませんが、売却代金から経費として差し引けなくなるため、その分だけ課税額が増えてしまう可能性があります。

登記事項証明書(登記簿謄本)

売却した不動産の登記事項証明書です。
最寄りの法務局や登記所などの窓口で申請するか、オンライン申請で取得できます。
なお窓口申請の場合は600円、オンライン申請の場合は500円の手数料が必要になるので、注意してください。

その他の必要書類

これまでご紹介した書類以外にも本人確認書類や、給与所得者の場合は源泉徴収票が必要となります。
また、3,000万円特別控除などの特例を利用する場合は、特例ごとに必要書類が定められていますので、そちらも別途用意してください。

確定申告の申告期間・申告場所と納税時期に関する注意点

確定申告の申告期間・申告場所と納税時期に関する注意点

確定申告には、申告できる時期と場所に決まりがあります。
間違えてしまわないよう、この機会に改めて確認しておきましょう。

確定申告の申告期間と申告場所

譲渡所得に対する所得税や住民税などの申告は、売却した翌年の期間中におこなわなければなりません。
申告期間は、毎年2月16日から3月15日です。
たとえば8月にマイホームを売った場合は、翌年の申告期間内に手続きを済ませる必要があります。
申告対象の期間は前年の1月1日から12月31日までになるので、たとえ1月に売った場合でも、申告するのは翌年である点に注意してください。
申告場所は、居住地を管轄する税務署です。
窓口以外にも郵送、インターネット(e-Tax)での申告も可能となっています。
なお、e-Taxによる電子申請を利用するには、マイナンバーカードなどの電子証明書が必要になるので注意してください。

所得税と住民税の納税時期の違いに注意

申告によって算出された税金は、期限までに納めなければなりませんが、所得税と住民税とでは納税時期に違いがあるので注意してください。
所得税の納税時期は、2月16日から3月15日までとなります。
所得税に関しては、基本的に申告と同時に納税すると考えておくと良いでしょう。
金額が大きく一括納付が難しい場合、期限までに半額以上を収めれば、残りの金額に関しては5月31日まで期限を延長できます。
一方の住民税は、5月以降に納付書が送付されるので、そのタイミングで納めましょう。
一括での支払いのほか、4回に分けて納める方法もあります。

まとめ

家や土地を売って利益が出た場合、確定申告が必要となります。
必要書類はさまざまで、各種申告書や譲渡所得の内訳書のほか、売買契約書のコピー、登記事項証明書なども必要です。
申告期間は毎年2月16日~3月15日で、申告場所は居住地を管轄する税務署となります。