住宅ローンが返済不可になったら?対処法や競売・任意売却についてご紹介

事務員 S

筆者 事務員 S

不動産キャリア11年

明るく元気がモットーです!

住宅ローンが返済不可になったら?対処法や競売・任意売却についてご紹介

住宅ローンを利用して、月々返済を続けているけれど、さまざまな事情で返済が苦しく感じている方もいると思います。
もし、住宅ローンが返済できなくなったら、いったいどうしたら良いのか、知っておくと対策が立てやすくなるかもしれません。
今回は、住宅ローンが返済不可になったらどうすれば良いのか、その対処法や、競売・任意売却についてご紹介します。

住宅ローンが返済不可になりそうなときの対処法

住宅ローンが返済不可になりそうなときの対処法

なんらかの事情により、住宅ローンが返済不可になりそうな場合は、早めに対処法を考えましょう。
ここからは、住宅ローンが返済不可になる前にできる対処法についてご紹介します。

滞納になる前に対処法を考える

健康上の理由や家庭の状況変化などによって、住宅ローンが返済不可になりそうな状況になった場合は、実際に住宅ローンを滞納する前に対処法を考えましょう。
万が一、住宅ローンを滞納してしまった場合、滞納から1~2か月目ほどで督促状や催告書が届き、それを無視して3か月以上滞納すると、期限の利益を喪失してしまいます。
住宅ローンの期限の利益は、住宅ローンを少しずつ返す利益を指すため、これを喪失すると住宅ローンの残債を一度に返済しなければなりません。
そうなってからでは、対処するのは難しくなってくるので、早めに対応することが重要です。

銀行に相談をする

住宅ローンが返済不可の場合の対処法のひとつが、銀行に条件変更の相談をする方法です。
一時的に返済期限を延長してもらい、返済スケジュールを緩和して、毎月の返済額を減らし、負担を軽くします。
しかし、住宅ローンの条件変更は滞納ではないので、銀行が了承してくれれば、期限の利益を喪失せずに住宅ローンの継続が可能です。
その代わり、条件変更を認めてもらうためには、病気や介護による一時的な収入の減少など、銀行が納得できる理由が必要となります。
条件変更する場合、半年から1年程の期間、元本返済を止めて利息払いにするケースが多いです。
条件変更期間が終了すると、もとの返済額に戻るので、今後の見通しを考えながら期間を決めていきましょう。

家計を見直す

住宅ローンが返済不可になりそうな場合には、家計の見直しを図るのも対処法のひとつです。
家計全般を見直して、無駄な出費がないか、固定費を中心に細かくチェックしていきましょう。
月々の出費額が大きいものを見直していくと、支出が効果的に減らせます。
もし、見直し方法がわからない場合や、今後の生活を見据えた家計の見直しをしたいなら、ファイナンシャルプランナーに相談してみるのもひとつの方法です。

住宅ローンが返済不可になってから競売までの流れ

住宅ローンが返済不可になってから競売までの流れ

住宅ローンを滞納してしまうと、最終的には競売にかけられることになります。
ここからは、住宅ローンが返済不可になってから、競売の手続きが開始されるまでの流れをご紹介します。

住宅ローン返済不可から競売の手続きまでは7~8か月

競売は、住宅ローンが払えなくなった家を強制的に売却する強力な法的手続きのため、1~2か月程度の滞納では、いきなり競売にはなりません。
住宅ローンを滞納したからといって、すぐに競売にかけられるわけではなく、一般的には競売の手続き開始までは7~8か月の期間があります。
7~8か月の間、一度も返済をしない場合に競売の手続きが開始するのであって、2か月に1度の割合でも返済をおこなっていれば、競売の手続きは開始になりません。

銀行からの督促状が届く

住宅ローンが返済不可となり、滞納してしまったら、まずは銀行からの督促が電話できます。
このタイミングですぐに入金すれば、これ以降問題はありません。
しかし、そのまま滞納して2~3か月目に入ると、銀行から督促状が届くようになります。
最初はハガキや封書で届きますが、それでも滞納を続けると、内容証明郵便などで督促状が届くようになっていきます。
4~5か月目になると、次は「期限の利益を喪失」する予告通知が届くなど、銀行側もしだいに厳しい対応となるのが現状です。

期限の利益を喪失する

住宅ローンが返済不可になり、滞納が5~6か月になってしまうと、住宅ローンの期限の利益を喪失します。
これで、残っている住宅ローンを一括で請求されることになるため、実質的にはこれまでどおり住宅ローンを払いながら家に住むことは不可能です。

保証会社が代位弁済する

期限の利益を喪失すると、約1か月以内に住宅ローンの残高を一括払いする旨通知が届きます。
この返済期限を過ぎると、住宅ローンの保証会社が債務者に代わって、銀行に一括で返済をおこなう「代位弁済」の手続きが必要です。
保証会社が、債務者に代わって銀行に支払いをおこなうため、今後は保証会社から債務の請求がくる形となります。

競売開始決定

保証会社は一括返済のみとなり、一括で返済できなければ、保証会社が裁判所へ競売の申し立てをおこないます。
申し立て後、数週間すると「競売開始決定通知」が届き、競売への手続きが開始です。

住宅ローンが返済不可の場合の「任意売却」

住宅ローンが返済不可の場合の「任意売却」

住宅ローンが返済不可となった場合、競売を避ける方法のひとつに「任意売却」があります。
ここからは、任意売却とはどのようなものか、そのメリットについてご紹介しましょう。

任意売却とは

任意売却とは、住宅ローンを利用している金融機関の合意を得たうえで、ローン残債がある住宅を売却する方法です。
通常、住宅ローンを利用して購入した住宅には、債権者によって抵当権が設定されているため、住宅ローンを完済して抵当権を抹消しない限り不動産の売却はできません。
しかし、金融機関に同意を得れば、ローンを完済していない住宅の抵当権を解除して、売却することが可能です。

任意売却のメリット

任意売却のメリットとして、競売とは違い、市場価格に近い価格で売却できる点が挙げられます。
競売の場合、内見ができないなどのリスクがあるため、売却代金はどうしても低くなってしまい、市場価格の6割から7割程度といわれています。
それにくらべて、任意売却は通常の売却と同じ販売方法をとれるため、競売よりも高い価格で売却が可能です。
金融機関側としても、競売で市場価格より低い金額での売却よりも、相場に近い価格で売却できる可能性が高い任意売却のほうがメリットも大きいといえます。
さらに、任意売却の場合、売却後の残りの住宅ローンを分割返済する交渉が可能です。

任意売却を成功させるポイント

任意売却を成功させるポイントは、以下の2点です。

●できるだけ早く任意売却の準備をおこなう
●任意売却の知識・経験豊富な不動産会社を選ぶ


競売の開始手続きが始まり、実際に入札が始まってしまうと、任意売却は不可能となってしまいます。
任意売却をおこなうと決めたら、できるだけ早い段階で任意売却の準備を始めましょう。
目安として、競売開始決定通知が届く前に、なるべく早く不動産会社に連絡をして、任意売却の手続きを始めることが重要です。
また、任意売却は通常の不動産取引とは異なり、債権者との交渉、利害関係人との調整など、不動産会社がおこなう業務内容が多くなります。
不動産会社を選ぶ場合は、任意売却の知識や経験が豊富な不動産会社を選びましょう。

まとめ

住宅ローンが返済不可になりそうなときは、ローンを滞納する前に、銀行に相談する、家計を見直すなどの対処法があります。
競売になるまでの流れとしては、まずローンを滞納すると督促状が届き、返済しないと期限の利益を喪失し、保証会社が代位弁済をして、一括返済ができないと競売手続きの開始です。
任意売却は、住宅ローン残債がある住宅を売却する方法で、競売と違い市場価格に近い金額で売却できるのが魅力です。